ワンオペ、しんどい時は叫ぼうじゃないか!
最近、『悪態の科学』(原書房)という本を読みました。イギリスの科学者エマ・バーンの著書で、乱暴な言葉の効用について書かれています。
人にもよると思いますが、乱暴な言葉を言うことって、あまりないですよね。
私はワンオペ育児で心身が摩耗すると、
「二人の子どもなのに、なんで一人で育てなきゃいけないんだよ。ふざけんなよ」と、
心の中で(たまに、夫に面と向かって)
毒を吐いています。
そもそも日本語には、罵倒語や悪態が少ない上、激しい愛の言葉も少ないんだとか。
確かに、たまに観る海外ドラマでは、
「そこまで言う?」と思うほど激しく罵り合ったり、胸キュンな愛の言葉を交わしたりしています。
前述の本には、さまざまな実験や研究結果が示されていました。その一つに、氷水に手を入れて、どれぐらいの間、我慢できるかを調べたら、悪態をつきながらだと、1.5倍も長く耐えられるとありました。ここを読んだ時に、ある出来事を思い出しました。
■叫んだ方が痛みに耐えられる!?
娘を出産した時のことです。
無痛分娩を希望していましたが、私が通う病院では対応しておらず、麻酔なしで分娩することになりました。
子宮口が10㎝開き、もういつでも出てきていいよ!という状態でしたが、なかなか出てこず、痛みに耐えて数時間。
その間、助産師さんから、「『痛い!』とか、『無理―!』とか何でも叫んでいいからね。発散した方が産みやすいよ」と言われました。
確かに、隣の女性はすっごい叫んでいるし、海外ドラマの出産シーンでは雄叫びをあげていたな、と。気持ちを開放することで、痛みに耐えられるんでしょうね。
そんなことを思いつつも、アラフォーに足を突っ込んでいる身としては、叫ぶことすら、体力がいる。それに、叫べって言われても、急に叫べないよーと思い、ひたすら耐えて、なんとか出産の時を迎えました。いろんな後処理が終わり、休んでいると、陣痛中にずっと背中をさすってくれていた助産師さんが声をかけてくれました。
「よく頑張ったね。
きっと、ものすごく忍耐強いんだと思う」
「でも、子育ては耐えなくていいからね」
その時は、深く受け止めていませんでした。
けれど・・・・・・。
助産師さん、本当に本当にその通りでした(涙)!
■全部、ホルモンと睡眠不足のせい
20~30代で仕事や創価学会の活動を通じて、相当な忍耐力を身に付けた私。
「全国忍耐力選手権」があったら、上位に入賞できたでしょう。
若い頃に培われた忍耐力、というか「耐える習性」は、子育てにおいては発揮しなくていいものでした。つらいなら、つらいって言えばいいし、しんどいなら、しんどいって言えばいい。けれど、本当にしんどい時って、言えないものなんですね。「もう少し頑張れるかも」「昨日より眠れたから、きっと大丈夫」と、耐える習性をバッキバキに発揮していました。
それに、誰かに助けを求めるって、そこそこの生命力が必要です。
プロセス1:今の状況を説明する
プロセス2:日時を決めて、約束を取る
プロセス3:家に来てもらうことになったら、部屋を掃除しなければいけない。家に行くことになったら、おむつやら着替えやら準備しないといけない
助けを求められる生命力もないし、自分の状態を俯瞰して見ることもできない。そして、あれこれ考えているうちに、「なんとかいけるかも」と思い込む・・・・・・。
でも、そんな簡単には、産後のホルモンバランスの乱れには勝てません。
睡眠不足も相まって、気持ちは常に不安定。かつネガティブ。いま振り返っても、産後1年ぐらいは、おかしかったな。
ささいなことに落ち込んだり、イライラしたりしていました。もし、産後の妻の変貌ぶりに「昔はもっと優しかったのに・・・・・・」「僕が好きになった妻はどこへ・・・・・・」とか甘いことを考えている男性がいたら、伝えたい。
「それ全部、
ホルモンと睡眠不足のせいですから!!」
そして、
「平日は無理でも、
土日は妻を休ませてあげてくれ。
というか、休ませろ」
「24時間働いているのは、こっちじゃー!」と叫びたい。
■眉間のシワが増えました
二人目の産後から約3年。
最近の悩みの一つは、眉間のシワです。
子どもたちのわがままやイヤイヤに付き合っていると、どうしても眉毛と眉毛の間に力が集まります。
他人の子どものイヤイヤは、「かわいいなぁ、イヤイヤしてる。ウフッ」ぐらいに思えるのに、わが子のイヤイヤや泣き声は、警報機並みの威力があって、平静ではいられなくなります。
娘のイヤイヤ期は赤ちゃん返りと重なって、なかなかのものでした。
息子は、絶賛イヤイヤ期中。
先日は、スーパーで買ったお菓子が思っていたのと違ったようで、その場に寝転んで、泣きわめいていました。起き上がらせようとするも、すごいスピードで走り出し、まさかの逃走。その様子を見て、なぜか泣き出す娘。
「嫌だー!」と泣きじゃくりながら走り続ける息子を、娘の手を引き、鬼の形相で追いかける私。
スーパーに来ていた人たちの熱視線を浴びながら、無事、息子を確保ーーー!!!
暴れまくる息子を抱きかかえ、やっとの思いで家の前にたどりつきました。
「ここまで来たら、大丈夫」と下ろしたら・・・・・・。
あやつは再び、逃走を図ったのです!
周りが全く見えていない様子で、
道路に突っ込んでいこうとする始末。
「いや、それ、死ぬから!」
「コラぁぁぁぁぁーーー!!」と叫びながら、なんとか食い止めました。
そりゃ、眉間のシワも増えますよ。
4人のお子さんを育てている先輩ママに、
「子どもといる時、眉間にシワが寄っている」と話したら、「そうだよね、分かるー」「私なんて、この前、4歳の息子に『ママ、笑って』って言われたー」と、教えてくれました。
「ママ、笑って」
なんて、破壊力のある一言なんでしょう。
私たちだって、そりゃ笑っていたい。
けれど、どうにもこうにも、笑えない時ってあって、「笑えなくても仕方ないんです!」と叫ばずにはいられない。
「命を育む」という責任は重いし、
子どもたちの体重も増えていく。
両肩は常にカチコチに凝り固まっています。
寝る時も、娘と息子にはさまれて、
私のスペースは狭すぎる。
布団を2枚ひいている意味がない。
「プリキュア」と「パウパトロール」は
好きだけれど、それ以外のテレビをたまには見たい。
お風呂にだって、ゆっくり漬かりたい。
いろんな望みはあるけれど、子どもたちとのワチャワチャな日々を懐かしく思う時が、
きっと、あっという間に来ちゃうだろう。
そんなふうにも思うから、今日も今日とて、ワンオペ育児の撲滅を叫びながら、
ほどほどに頑張ります。