夫の長期出張回顧録――ワンオペ生活を乗り切るために私が考えたこと
子どもたちがきょうだいげんかで、こんな言い合いをしていました。
息子「僕の方が嫌だった」
娘「私の方が嫌だった」
それを聞いた瞬間、「その気持ち、分かるー」と口に出していました。
私も、仕事で忙しく動き回っている夫を見ながら、「道理が通じない、理不尽の塊みたいなイヤイヤ星人を相手にしている私の方が大変」と、つい思ってしまいます。
睡眠が取れていて、心身に余裕がある時は、
「お互い大変だし、お互い頑張っている」と思えますが、いつもそうとは限りません。
この夫婦間での「大変さ比べ」。
できるなら、「自分の方が大変」と不満を抱きたくないし、「期待しても意味がない」と諦めたくありません。
そこで考えてみました。
一般的にもよく言われ、職場でも見聞きする、「相手の立場を想像して考える」ということを。
夫の立場、果たすべき責任の重さ、30代の''今しかできない感"などを想像しました。
その結果、何を思ったのか。
「毎日、仕事や活動、家事・育児にほんと頑張ってるよね」
「いろんな要望にすぐ応えなきゃいけないし、大変だよね」
こんな思いになった一方で……
「同世代の人たちとワチャワチャ動いて、なんだかんだ、とても楽しそう」
「大なり小なり、いろんな達成感や充実感があるしね」
とも感じました。
「達成感や充実感」ーーこれが私と夫の、最大にして最強の差だと思います。
達成感や充実を感じたのはいつ?
私の日常は、子どもたちにごはんを食べさせ、遊ばせ、寝かせ、無事故で過ごすことに全力を注いでいます。
創価学会の会合に行くのも、いくつもの“ミッション”をクリアしないとたどり着けません。
追われる日々の中で、私が達成感を抱いた出来事を思い返してみました。おそらく、「産後数日」がピークでした。アドレナリン(興奮ホルモン)が全開だから、当たり前と言えば、当たり前ですね。
その後は、寝返りを打った、初めて「ママ」と言った、歩いたなど、成長の瞬間に充実や喜びを感じてきました。子どもの寝顔を見たり、0~2歳頃の写真を見返したりすると、「大きくなったな」「よくここまで育ったな」との思いを噛みしめます。
子育ての充実感は、じんわり、ゆっくり、ふとした時にやって来ます。多くの時間を子どもと過ごし、長期戦で成長を見続けているからこそ感じられるのかもしれません。
こんなふうに書くと、「そもそも育児は母親の方が向いているからね」と思う人がいるかもしれません。けれど、母親・父親という性別ではなく、”主体者“であるかどうかにかかっていると思います。
知識として、その大変さや喜びを「知る」「想像する」ことはできても、実際に「体験」しないと分からないこともたくさんあります。
大変さで言うと、わが家の場合、息子の激しいかんしゃくや、二人同時にイヤイヤ星人になった時の対応が挙げられます。
なので、結局のところ、私は夫の大変さをほんとの意味で理解できないし、夫が私の大変さを理解することもできないのかもしれません。
それでも、「少しでも分かりたい」と心を寄せて相手の話を聞き、自分の気持ちも伝えていく。それによって、関係性はより良く変わっていけるはず。いろいろ言いつつも、私にとって、夫は何でも話せる一番の親友であり、戦友ですし。
「結婚してもしなくても幸せになれる時代」に、せっかく夫婦になったんだから、大変な日々も、互いの努力で乗り越えていこうと思ったのです。