社会課題と向き合い、研究・実践を続ける学者たち
文部科学省の各種委員会の委員を歴任し、現在は日本自閉症スペクトラム学会常任理事も務める坂井さん。そのキャリアのスタートは、香川県立高松養護学校(当時)の教諭でした。一貫して、特別支援教育の現場に携わってきた人です。記事では、日本社会の〝現在地〟をこのように語っていました。
日本社会の〝現在地〟
※坂井教授のインタビュー全文は、下記の書籍にも所収されています▼
その社会の実現のために、坂井さんは、さまざまな研究・実践をしていますが、その歩みの中で数多くの仲間に恵まれたといいます。
東京大学先端科学技術研究センターの中邑賢龍シニアリサーチフェローも、その一人です。中邑さんは、障害者によるICT(情報通信技術)を活用した学習や、不登校などの社会課題に対してそれを解決するための研究・実践を重ね、子どもの可能性を発信し続けています。
実は、中邑シニアリサーチフェローには、2022年夏、坂井さんよりも前に取材・掲載をさせてもらいました。そして2022年の年末に中邑さんがコーディネーターを務めたカンファレンスに、坂井さんが講師として参加しており、記者もそれを機に坂井さんを知って、取材を申し込んだ経緯がありました。
青年時代の思い出
坂井さんのインタビュー取材では、中邑さんとの関係についても話が及びました。ここからが「取材の舞台裏」。記者が「〝社会や教育こそが、一人一人の子どものために変わらねばならない〟と考えるようになった原体験、きっかけといったものはあるのでしょうか」と質問した際、坂井さんは、こう教えてくれました。
常に気さくな語り口で、親しみやすい印象を与える坂井さんでしたが、青年時代の記憶を語る表情は、いっそう生き生きと、輝いて見えました。出会ってから約30年、立場や場所が変わっても、つながり、研究・実践を続けていることに感銘を受けました。
また、坂井さんは、記者の等身大の子育ての悩みにも、具体的なアドバイスをしてくれました。こちらは、掲載記事から、再度ご紹介します。
質問とアドバイス
その1:「かんしゃく」について
――6歳の娘の「かんしゃく」についてです。組み立て式の人形で遊んでいて、いつもは立つはずの人形が立たないことがありました。そうしたら、「なんで立たないんだ!」と言って娘が暴れ出したんです。その後も似たようなことがいっぱいあるのですが、そんな時は「あ! そういえば今、面白いテレビやってるよ」と言って、注意をそらそうとしています。どう思われますか。
その2:親と離れると不安に
――6歳の息子がいます。私が出張に出て、夜に家にいないと、情緒が不安定で暴れ出します。「明日の〇時には帰ってくるからね」「どこどこに行ってくるよ」と細かく説明してから出発するのですが、少しでも本人が安定する方法は、あるでしょうか。
その3:進学に際して
――息子は、この4月から小学生ですが、人とのかかわりが苦手で、幼稚園へは行き渋りがあり、たまに行っても、親が一緒でないと教室に入れません。大きな音や声が苦手といった特徴もあります。就学予定の小学校にも、あらかじめ状況を伝えようと思うのですが、どのように伝えるのがよいでしょうか。
その4:パートナーとのコミュニケーション
――頭では分かっていても、子育てには気力と体力が必要なことを感じています。妻とも協力しておこなっているつもりですが、それでも、お母さんの大変さは甚大だと思います。パートナーと励まし合いながら子育てしていくための工夫など、ありますか。
2023年の年末にも、もしかしたら、中邑賢龍さんと共に、カンファレンスに登場されるかもしれません。その際には、ぜひ、カンファレンスのことも取材したいと思う今日この頃です。(みやもん、はっしー)
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