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妻の「産後うつ」からの気づき。心がつらいときは2段構えで臨んでいます

小学2年と1年の年子の娘を育てています、みやもんです。妻の産後うつもあり、「家族の幸せ」とは何かをよく考えています。今回は、「子育てで心がつらくなったら」をテーマに書いていきます。

最近、次女の宿題の時間になると、妻は裏声になります。

「やあ、こんばんは! 元気にやってるぅ? お待ちかね、宿題の時間だよ。ぼくと一緒に楽しくやってみないかい?」

宿題嫌いの次女がどうしたら鉛筆を取り、ドリルに向き合ってくれるのか。
(今の時代、ドリルを解く意味があるのかとか、そういう話はいったん置いておきます)

思案する中で妻が編み出した戦法が、ぬいぐるみを使って娘に語り掛ける、というものです。私たち両親がいくら「宿題やろうよ」と言っても、「なんで、やだ。なんの意味があって宿題やるの?」「まだ、全然、ゲームやってないんだけど!」と娘は拒みます。ほんと、ずっとです…。

これまでは、「ゲームの時間を決めて、終わったら宿題をする」または「宿題をしてから、ご褒美としてゲームをする」などの方法を試してみましたが、うまくいきませんでした。やだやだ、の連続に、こちらもどんどんイライラが募り、爆発……こういうことが続いてて、困っていました。

そこで、助っ人としてぬいぐるみたちを召喚したのです。

「宿題やだ」と言われても、ぬいぐるみなら「なんでなんで、僕と力を合わせてドリルをクリアして宝物をゲットしようよ!」「え、やらないの、ガーン。ぴえーん」なんて大げさなリアクションや発言ができる。すると、ゲーム画面に見入っている娘も、思わず吹き出し、目線をこちらに向けて話を聞くモードに入ってくれるんです。

◾️出口の見えないトンネルにいるような感覚に

こうして、ぬいぐるみ作戦などで頑張る妻ですが、実はここ5、6年、本当に苦しい生活を送ってきました(最近は比較的、体調いいです)。

2017年に次女が生まれて1カ月後、里帰り中の妻から「産後うつと診断された」と連絡がありました。それからは、布団から起き上がれず、食事も取れないほど不調になる時もしばしば。なんとか食事ができても、会話はほぼなし。話題を振っても反応はありませんでした。

だんだんと、支える側である自分も、出口の見えないトンネルにいるような感覚に陥っていきました。取材中、臨床心理士の東畑開人さんから、「そう感じること自体がうつっぽい状態ともいえますね」と指摘されてハッとしたのを覚えています。男性だって産後うつになりますからね。

いろんな人が励ましてくれたおかげで今があるので、感謝の念は尽きません。ただ、心がつらい時って、「絶対に大丈夫だから!」みたいな力強い言葉は、正直あまり支えになりませんでした。「もう悲しむのはそれくらいにして、とにかくガンガン前に進みなよ」と半ば強引に押し出されたような感じがして、つらかった。それよりも、「人生っていろいろあんのよね」とか、「そりゃあ無理あるわ」とか、失意の底まで共に沈み込んできてくれるような言葉の方が安心できました。

ある時、『絶望名人カフカの人生論』(編訳・頭木弘樹)という本を読み、「大丈夫、前に進もう」も「無理しなくていいよ」も、どちらも正しい励ましだと知りました。ただ、放つタイミングが重要なんですね。

長年、難病と闘ってきた頭木さんは、音楽療法の手順を参考に解説します。

心がつらいときには、

(1) まず最初は、悲しい音楽にひたる=アリストテレス「同質の原理」
(2) その後で、楽しい音楽を聴く=ピュタゴラス「異質への転導」

というふうにするのがベストで、そうすると、スムーズに立ち直ることができるのです。たとえば失恋したときには、悲しい歌詞やメロディーのほうが耳に入ってきやすく、しっくりくるもの。(中略)最初から明るい音楽を聴いても、心にしみ込んできません。

育児って、一気に心の余裕がなくなります。毎日のお世話だけで心身ともにヘロヘロですが、そこに発熱などの突発的な出来事もちょくちょく起きてくる。そのたびに、スケジュールの変更を余儀なくされます。そんな中で、育児以外にいくつも負担が重なったら、もう、キャパオーバーです。心がつらくなるのも当然です。だから、つらさに応じて、交わす言葉の種類やトーンは使い分けていいと思います。

しんどい時は、そのまま叫べばいい。まさにこれです、これ。

そして、心がつらい時は、迷わず助けを求めちゃいましょう。完全な人なんていないので、どんどん頼っていい。でも、そうそう簡単に「助けて」と言えなかったりしますよね。自分もそうでした。

では、どうしたらいいのでしょうか。『「助けて」が言えない』という本を編集した精神科医の松本俊彦さんは、こう言います。

僕も言えないんですよ。でも「俺たち『助けて』って言えないよね」って愚痴り合う場があるかないかは大きな違いだと思います。

松本俊彦編『孤独と孤立

各家庭ごとに状況が違いますから、「子育て」と一言で言っても、見えている景色は異なります。けれど、まあ、みんな結構、ストレスたまってますよね。だから、「子育て会議」というネーミングでnoteを開設できてよかったです。

しんどさを即座に消すような魔法なんて使えませんが、しんどさとうまく付き合う術なんかはお話しできるかもしれません。子育てと病者のケアを通じて感じたことを、引き続き綴っていこうと思います。

聖教新聞の記者たちが、公式note開設の思いを語った音声配信。〝ながら聞き〟でお楽しみください ↓

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